米In-Stat/MDRは米国時間2月3日に,ブロードバンド向けセキュリティ市場に関する調査結果を発表した。それによると,2000年に7400万ドル規模だった同市場は,2004年に8億2900万ドル規模へと急成長を遂げるという。「2006年末までの年平均成長率は46%になる」(In-Stat/MDR社)

 消費者や小企業ユーザーが,ブロードバンド接続の脆弱性を認識するようになるにつれ,サービス・プロバイダはさまざまなセキュリティ・サービスを提供するようになる。これは,新たな収入源を確保するという以外にも,セキュリティ侵害が起こった際に,責任を問われないようにするためといった自衛的な理由がある。

 「消費者や企業ユーザーの間でブロードバンドに対する人気が高まっており,セキュリティ機能を備えたハードウエア,ソフトウエア,サービスなどの需要が上昇している。セキュリティ・ベンダーは,コンピュータに精通していないユーザーでも簡単に利用できるソフトウエアや,プラグ・アンド・プレイ式のハードウエアに焦点を当ててマーケティングを展開している」(In-Stat/MDR社アナリストのJaclynn Bumback氏)

 その他の主な調査結果は次の通り。

・当初は,境界ネットワークの防御やウイルス検出のソリューションが市場の成長を後押しする。また,ブロードバンドの早期導入者は無線LANに向けたセキュリティなど,より新しい脅威に対するソリューションを求めるようになる

・現在,米国人口の約14%がケーブル・モデムかDSLを利用している。そのうちファイアウォールを導入しているユーザー約64%。「つまりブロードバンド・ユーザーの3分の1以上は,脆弱な環境のもとでパソコンを利用している」(In-Stat/MDR社)

・2000年~2001年にかけて,セキュリティ市場の大部分を占めたのはウイルス防止製品だった。しかし,今後2006年まではファイアウオール製品が市場を席巻する。とりわけハードウエアの販売が伸び,市場の成長をけん引する

・2000年~2001年はNATルーターの需要が目覚ましかった。今後も同様の製品に対する需要が高まる見通しである

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